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【漫画感想】リアルな終末を爽やかなタッチで描く『銀河ロケットにお葉書下さい』【太田垣 康男 スタジオ・トア,太田 優姫/スクウェア・エニックス】

銀河ロケットにお葉書ください(1) (ビッグガンガンコミックス)

最期の葉書に あなたは何を書き 何を残しますか?

10か月後に巨大隕石が地球に衝突。地球消滅は回避できず、人類滅亡は決定的となりました」

突如として当たり前に来ていた毎日は10ヵ月後に終わってしまうことが決まった。 

この事態に到り、日本政府は『銀河ロケット事業団』を設立し、自分が生きていた証を残す為に、専用葉書を国民全員にひとり一枚ずつ配布。

人々の集まった最期の言葉・メッセージは特殊技術でプレートに縮小され、宇宙船『銀河ロケット号』に搭載し銀河に向けて打ち上げられる。 

世界の終わりを迎える人々の想いや行動が交錯して生ずるヒューマンドラマが、オムニバス形式で紡がれていく。

以上が『銀河ロケットにお葉書下さい』のあらすじです。

この漫画の魅力はどんなところにあるのか? 気になる方はお付き合い下さい。

銀河ロケットの面白いところ

「10か月後に巨大隕石が地球に衝突して人類滅亡」

創作上の設定だとはいえ、仮にこんなことが現実に発生してしまったら、誰しも正常ではいられない。この作品はそんな「ありえない」設定が体験できる。

残された時間でどう生きるか?

当然残り10か月という定められた期間しか、全人類には残されておらず人々はパニックに陥り、働くことを放棄する人や残りの時間を家族と過ごそうとする人、皆思い思いの行動を取る。
後ほんの少ししか生きていられないと現実に実感出来たら、誰も未練を残さない様にする。自分が生きた証としてメッセージをロケットに乗せて、銀河に打ち上げるなんて取り組みも本作の目玉だと思うが、自分がそうなったらとてもメッセージなんて、書いて入る精神的余裕はないだろう。 

新しい命に対して

妊娠してしまった女性は更に不幸だ。何しろ出産しても子供が生きていられないからだ。出産しても命を繋げないのだったら、子供が生きていられないのだったらと考え中絶をしようとするのだが、それでも新しい命に意味を見出し出産に踏み切る葛藤が描かれている。

終わりに

ほぼ10か月後に自分が死ぬという逃れ様の無い現実に直面した場合人間はどうするのか?という現実にもしかしたら訪れる可能性があるかもしれない、重いシナリオ設定の本作。 

人間がもし明日をも知れない命になったら、どうするか?どう自分に向き合うか?そういった人間の心理を、繊細なタッチで綿密に描いている作品だ。現実でも生きる意味を失ってしまった方、分からなくなってしまった方にはおすすめだ。